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見えざるコスト 情報の資源化

経営資源としての情報とはどのように理解することができるだろうか。
経営資源とは経営の目的を達成するために利用される事物といえる。
経営情報、原価情報、販売情報などは、会社の状態を測るために利用する数値情報であり、マーケット情報、クレーム情報などは製品サービスの開発・改善のための情報と捉えることができるであろう。
これらの情報は、収集→蓄積→加工・分析→利用というプロセスを経て資源として役立つことができるようになるのであり、このプロセスに掛かる費用すなわち、社内外から収集した情報の資源化に必要な費用の総額が情報投資ということである。

情報の資源化と“良い会社”


大手企業のIRに、「当社の情報投資額は対売上高比率○○%です」といったアピールが頻繁に登場する。
大手企業ほど売上に占める情報投資額の比率が高い傾向にあるが、これは投資家が情報投資している会社=良い会社というステロタイプの評価をしがちであり、彼らへのアピールである場合が多い。
IRの必要のない中小企業では売上比率で情報投資を行っているケースはまれであり、必要に迫られ予算化できる金額で投資するというのが実態である。

私がコンサルティングでお付き合いした大小様々な企業の対売上高情報投資金額比率は、0.1%未満から20%以上まで実に多岐にわたる。
それでは、社内外から収集した情報や、社内情報の資源化に掛かる費用の総額=情報投資額が売上に占める割合が高い企業は良い企業であろうか。
結論から言えば、答えはYesである。

現代において、情報資源の利用なくして生産される商品やサービスは存在し得ないからである。製品・サービス市場・顧客から収集したニーズやクレーム情報など必要ないという企業は生き残れないであろうし、販売情報や生産情報の分析が必要でないと考える経営者もいないであろう。
であれば、なぜこのような開きがあるのか。
答えは極めて簡単。
コストとして目に見えるか見えないかの違いであるだけで、資源として活用が必要な情報の量は、売上高に比例して必ず上昇しているのである。

目に見えない部分は、経営者や営業マン、現場作業者の頭の中で処理されているのであり、即ち労働コストに埋没しているだけである。
この埋没している情報処理をコストとして明確にし、投資対効果を勘案した上で実施するのが情報投資といえる。
こうして実施された情報投資は、顧客ニーズにより適合する形で商品・サービスの利用価値を向上させる一方、情報の属人化を排除することで製造原価・サービス原価の低下をもたらし価格競争力をも生み出す。
ここまで情報コストを明確にすると、情報コストを単位あたり商品・サービスに含まれるコストとしてとらえることができる。

コンサルティングの現場では、付加価値が高く競争力のある商品を説明する概念として、【式1】を利用する。
【式1】 商品・サービス価格= 直接・間接製造原価+製造情報原価+販売費+
一般管理費+販売情報原価+営業利益


MDR分析


私どもF&Pコンサルティングファームは、MDR(Marketing Data Relation)分析という手法(MDR概念図)をコンサルティング現場において頻繁に利用する。
まず市場から収集した情報(口頭や紙も含む)の伝達→蓄積→加工→利用といった処理について、営業→マーケティング→開発→製造という、企業が付加価値を生む業務の流れに沿ったプロセスで分析を実施し、情報の伝達における埋没・停滞箇所を明確にし、同時にこのプロセスの中で情報の処理がIT化された方がより経営の効率が上がる箇所を導き出す。

こうした情報の処理プロセスの分析は、目に見えない(労働コストに埋没した)情報資源化コストを明確にし、リソース(経営資源:人・物・金・情報)の経営目的にあった最適配分を可能とする。

MDR分析概念図

高度情報化社会と企業経営


Web2.0という概念をご存じであろうか。これは、コミュニケーション形態が大きく変貌しつつある状況を示すものである。ビジネスの世界では従来、企業から消費者へのメッセージの伝達といえばCMなどのように、マスコミュニケーションを基本とした一方通行の情報発信であった。

Web2.0の世界では、消費者自らがブログなどでコミュニティを形成し、商品・サービスの利用評価を公開することで、購買の意思決定に“消費者の目”が重要な位置を占め始め、企業サイドもこの評価情報をプロモーションの重要要素として捉え始めている。これらの事象についてはいずれ別の機会に詳しく述べるとして、前述した「情報資源の利用なくして生産される商品やサービスは存在し得ない」現在、企業経営に情報化投資をどのように位置づければよいのかを考察してみる。

前号で1回目を読まれた読者の方はすでにご存じである、本シリーズの骨子である【式2】に今回の情報化投資を反映してみよう。
【式2】戦略=経営外部環境に対する経営内部環境
(リソース×プロセス×商品×ガバナンス×自律性)の最適化
リソースとは人、物、金、情報に大別できる。これらは付加価値を生む要素であると同時に、人のコスト(人件費)、物のコスト、金のコスト(資金調達コスト)、そして情報の活用のコストという具合に全てコストとして捉えることができる。
すなわちリソースの最適化とは、結果として必ず「付加価値>コスト」の関係になっていなければならないのだ。

情報化投資とは「情報の資源化に掛かるコスト」と前述したが、利用できる資源となった情報は、実は物(設備等の物的資源)に固定化される。
資金投入→情報コストと人件費が物のコストに変容→固定資産化というプロセスだ。
資産化された情報は、最大限に効果を引き出すため、その利用を必ずプロセス上に定義する必要があり、付加価値が高く競争力のある商品に収斂されるのである。
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