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HOME > 記事【エンジニアリングアプローチによる営業改革---提案力とは】 |
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提案力のばらつきあなたの会社に、決定力のある提案を自ら考え、行うことのできる営業は何人いるだろうか。こうした営業はエースと呼ばれ、まさしく人財(材にあらず)である。
だが、このエースという人財もなぜ自分ができるのかがよく理解できていない。よって人財を育てることができない。できる、できないの差はどこにあるのか。曰く「顧客ニーズ・課題のヒアリング能力」「ニーズ・課題の分析能力」「ソリューションの創造能力」「提案書の表現能力」。すべて的外れである。 差は営業マン個々の【能力】の差異によるものではない。 4つの項目定義の未整備に原因はある。 (1) 提案プロセスの本質 (2) ヒアリングのポイントと方法 (3) ヒアリング結果の分析方法 (4) 提案書の構成 以下、それぞれについて述べていく。 (1) 提案プロセスの本質 「提案プロセスの本質とは、“顧客が購買に至る意思決定をうながす行為”であり、その本質は顧客への情報提供(数値情報)にある」(図1参照) 提案とは、顧客の状態を購買へ向けて変化させていく活動である。最初から買おうと決定している顧客は例外として、提案の多くのケースでは顧客がニーズや課題を明確に認識していない状態から始まる。この状態からいかに「やはり必要なのだ」と思わせるか。相手の気持ちを変えるのは、そう思わせるための情報の提供だ。 ここで言う情報とは、「この商品は良いのですよ」などのあいまいな情報ではない。「これを使うと月額○○円経費が削減できます」といった明確な数値情報である。 多くの営業マンは、こうした顧客の状態ではなく、顧客の行動を基準に対応するという受動的な業務をこなす。 ここではむしろ、顧客の状態を変えるために必要な数値情報を集め提供するという能動的な姿勢が必要なのである。
(2) ヒアリングのポイントと方法
「ヒアリングとは、顧客に話させることである」 私がコンサルティング現場で観察した数百人に及ぶ営業マンのなかには、顧客を説得しようと必死な結果、相手の話をよく聞いていないという例が多く見られる。ヒアリングのポイントは、あくまでも話してもらうことである。自ら話した事柄には、顧客はいくばくかの責任を持つ。しかし、ただ黙って座って相手の話すがままに任せていればよいかといえば、そうではない。こちらの商談意図に沿った話に持っていくために情報(数値)を適宜提供する。
すなわち、[こちらからの情報提供]と[相手からの情報取得]のキャッチボールの関係が望ましい。これが、提案に対する相手の納得を醸成する。 私どもF&Pコンサルティングファーム(以下F&P)では、こうした情報のやり取りの進捗をチェックするツールとして、カウンセリングの現場でよく使われる【ジョハリの窓】をビジネスシーンに応用して活用する。(図2参照) (3) ヒアリング結果の分析方法 「ヒアリングの結果の分析はすべてチャートで表現する」 F&Pでは、提案営業育成のトレーニングで、3つのチャートの徹底的な習得を行っている。 【マトリックス図(相関構造)】【階層構造図(ツリー構造)】【プロセス図(時系列構造)】である。 これらのチャートによる分析結果は、そのまま説得力のある提案書に利用でき、かつ営業組織内で共有することが容易な資産となるのである。 (4) 提案書の構成 「提案書は起承転結かつ相手の言葉で表現する」 ヒアリングに関する項目で述べたように、取得した情報はすべて相手の言葉であるはずである。 ベテラン営業によくありがちなミスは、相手から聞いた言葉をこちらの業界用語に置き換えてしまうことである。 たとえば自動車営業の場合、「ゴルフクラブ4セット入る大きなトランクがほしい」という顧客の言葉を「ラゲッジスペース容量は○○リットル」などへの置き換えである。同じ意味の言葉でも、顧客によって理解が異なる。このように、相手の発した言葉を、起承転結で構成するものが提案書である。 【起:課題の認識】 【承:解決策の探索】 【転:解決策の投資対効果】 【決:解決策の選択】 起承転結がそのまま相手の購買意思決定のプロセスであり、自ら話した内容であることから、提案に対する理解はすでにできあがっている。こうした提案書は稟議に上げやすいものである。 提案営業育成トレーニングF&Pでは、これまでに述べてきた提案活動に関する一連の考え方をケーススタディとロールプレイングを主体とした実践的なトレーニングプログラムで、すでに数十社に提供してきている。受講いただいた各社は、業種はさまざまであるが、提案の本質が異なっていたケースはない。
これら4つの項目を組織的に定義、運用することでより多くの営業マンを人財というリソースとして活かすことができる。本シリーズの骨子【式1】にあるように、プロセスのあり方によりリソースの活き方が変わるのである。
【式1】
戦略=経営外部環境に対する経営内部環境 (リソース×プロセス×商品×ガバナンス×自律性)の最適化 |
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